リーダーに求められる条件

人の上に立つ人間に必要な仕事は,「決断すること」「責任を取ること」の二つしかない.
  from 『陽気なギャングが地球を回す』(伊坂幸太郎

 研究室飲み会にて,観測サイト(対象地)を決めることが難しいという話が出た.新規に観測を始めるときには「この場所で観測する」「この区画を観測プロットとする」「この樹木で測定する」という決断をしなければならない.しかしこの決断には勇気がいる.「本当にこの場所・樹木でいいのだろうか」という不安が生じる.
 入念な現地踏査・調査により周辺環境の情報も得て,選定場所・選定対象の空間代表性を堂々と説明できれば自信を持って不安を減らすことができる.しかし金銭面・人員面などの制約により,毎回そのような理想的な決断ができるとは限らない.「仕方なく」場所・対象を選ばなくてはならないこともある.土地の所有者の許可が取れなかったり,車の入れる範囲からなるべく近いところになったり,測器設置のためのスペースが確保できなかったり,などなど.
 更に,どれだけ入念に事前準備をしても実際に観測し始めないとわからないことも多い.結果的にその選定場所・選定対象で良かったといいうこともあるし,その逆もある.大切なのは決断したことに堂々とできる態度であり,その決断に対して責任を持って説明できる(たとえハッタリだとしても)態度であろう.キチンと説明できないと論文書けないし.


 で,「決断」「責任」というキーワードが出てきて思い出したのが,冒頭で紹介したフレーズである.リーダーってこういう決断に迫られる機会が多い立場なのだろうな.
 リーダーに求められる資質・力は数多くののビジネス本などで紹介されているが,枚挙してみればキリがない.当然,紹介されているような資質を多く持っていることに越したことはないけれども,全てを備えたスーパーマンはそう簡単には存在しないだろう(いるかもしれないけど).
 けれどもリーダーが自信を持って決断してくれて,その決断に責任を持ってくれることがわかれば,部下として気持ちよく仕事ができる.「決断」「責任」の2つがありさえすれば他の部分には目をつぶれる気がする.そのような立場に立つときがあれば,そういう態度を取れる自分でありたい.