わかりやすい発表について考える

○ わかりやすくするということ
 http://www.1101.com/essay/ (from まなめはうす)

 前半のイラストの話題,中盤の難しい言葉の話題もそれぞれに興味深いけど,後半に書かれてた「文章の流れ」の部分に惹かれた.以下はその一部を引用したもの.

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10と、詳しい丁寧な説明をすることで、ゴールに行くまでの手続きが増え、ゴールは遠くなる。1, 2, 3 → 5 → 7 →10と、一気にゴールにたどりつくことで、はやく全体像がみえてくる。わかりやすくといわれると、私もつい、説明を1から10まで、より詳しくしようとして失敗する。同じ10を言うのなら必要最小限の手続きでと心得たい。

 これをプレゼンテーションに置き換えて考えてみて,ぜひとも心に留めておきたいなあ,と思った.
 以前の記事*1 でも書いたけど,プレゼンにおいてわかりやすさと面白さは必ずしも共存しない.「丁寧なわかりやすさ」を求めれば,すんなりと頭の中に入ってくる耳障りの良い説明・プレゼンができる.それは,スライド1枚1枚での疑問は湧きにくいけれど,全体を通してのっぺりとしてしまい,印象に残らないプレゼンになってしまいがち.プレゼン後に聴衆から「わかりやすかった」という感想が出てくるのは,嬉しい気でいたけれど,実は何も心に引っかからなかっただけなのかもしれない.


 研究発表は,「この研究やったら,こんなことがわかったんだよ」ということを伝えるプレゼンを行う.でもいきなりその結論を言うことは許されず,結論が導かれるまでの方法や手順,実験結果などを提示していく必要がある.結論に辿り着くための道案内をしないといけない.たいていの案内順は「背景 → 目的 → 方法 → 結果 → 考察 → 結論」だ.
 でも,通り一辺倒なプレゼンの案内順にこだわる必要はないのかもなあ.「伝えたいこと」を際立たせることを第一に考えてプレゼンを構成していけば,その順序にならないことだってあるはずだ.型にはまった発表は聞きやすいけれど,それによって伝えたいことがぼやけてしまうのはもったいない.同じ結論を伝えるにしても,やり方一次第で与える印象が変わってしまう.
 せっかくプレゼンするからには,わかりやすく,かつ,印象に残るようなプレゼンをしたい.
 何を「わかりやす」くしたいのかを明確にするのって,重要なんだけど意外と忘れがちな気がする.これからは気をつけてみよう.


 まあ,誰がどう聞いても「驚くべき結果」が出るような研究ができれば,プレゼンの見せ方なんてどうでも良いわけですが.


*1:眠くならない発表について考える http://d.hatena.ne.jp/dropsound/20070108