質問するのは簡単じゃない

 研究室では毎週ゼミがあり,その日の発表担当者がこれまでの成果,観測データ,これからの研究計画などを発表する.そして発表後に質疑応答の時間がある.今でこそ他の人の発表に対して疑問をもって質問することができるようになってきたけど,研究室に入りたての頃は質問するのが非常に難しかった.毎回のように質問をする先輩を見て「どうして毎回質問を出せるのだろう?」と疑問に感じたものだ.

なぜ質問できないのか?

 昔を思い出しながら,質問できなかった理由を考えてみた.

  • 何を質問してよいのかがわからない
  • 自分みたいな若造が先生,先輩に質問しても良いものなのか?
  • 自分の質問が的外れに違いないだろうから,聞くに忍びない
  • 基本的な知識が自分の中で不足しているだけだから,その状態で質問することは申し訳ない
  • 先輩や先生が先に質問してしまい,質問のタイミングがわからない
  • 質問するとゼミが長引いて疲れる
どうしたら質問できるようになるのか?

 先ほどのリストを類型化して,それぞれの対策を.

  • 何を質問してよいのかわからない

 質問が湧くようになるには,ある程度の発表経験が必要だと思う.自分の発表時に質問を受けるわけだが,その回数を重ねるにつれて,どういった内容を質問されるのか,ということを把握できるようになってくる.そうなると自分の次回の発表技術も上達するだろうし,そこで養われた視点で他の人の発表を聞くようになってくる.
 他の人の発表を聞くときに「自分のときはどうだったかな」という気持ちで聞けば,質問が出てくるようになる.そしてもう少し余裕が出てくれば「何か質問してみよう」という気持ちで発表を聞くようになるから,さらに質問が湧いてくる.

  • 自分なんかが質問しても良いのだろうか?

 よいのです.そういう遠慮はあまり意味が無い.その場で質問しなかったら解決しないに決まっています.羞恥心との戦いになるだろうけど,研究室に入りたての学生が知識が少ないのは当然なので,開き直るくらいでよいのだと思う.

  • 質問したかったのに...

 時間の都合や様々な事情で質問があるのに,質問ができないこともあるだろう.それに対して残念だなあと思えれば,次の発表時に質問してみようという気にもなると思う.この段階までくれば,質問できるようになっている

というわけで,まとめると

 何事も経験.質問できるようになるには,ある程度の経験と,それを基に形作られる「何か質問してやろうと思いながら発表を聞く態度」が必要.そのステージを経れば,自然と質問が出てくるようになる.